前回は、自律神経が体のさまざまな働きを自動的に調整していることをご紹介しました。では、「自律神経失調症」とは、どのような状態を指すのでしょうか。
自律神経失調症は、一つの原因や病気を示す正式な診断名ではありません。一般的には、動悸やめまい、疲労感、胃腸の不調など、自律神経に関係すると考えられるさまざまな症状があるものの、検査だけでは原因を十分に説明できない場合に使われることが多い言葉です。つまり、「気のせい」という意味ではなく、実際につらい症状がある一方で、その背景を丁寧に調べる必要がある状態といえます。
大切なのは、最初から「自律神経の乱れ」と決めつけないことです。貧血、甲状腺の病気、不整脈、更年期障害、感染症、睡眠障害、うつ病や不安症などでも、よく似た症状が現れることがあります。そのため、自己判断せず、必要に応じて内科や心療内科、精神科で診察や検査を受けることが、適切な治療につながる第一歩です。
体調が悪いにもかかわらず「検査では異常がありません」と言われると、不安や戸惑いを感じる方も少なくありません。しかし、重大な病気が隠れていないことを確認すること自体にも大きな意味があります。そのうえで症状の背景を総合的に評価し、一人ひとりに合った対応を考えていくことが大切です。


